「聴診器で聞く胸の音:呼吸器と健康」
- 2023.11.21
以前、診察で聴診器を使って聞こえるお腹の音についてお話ししましたが、今回は呼吸器として知られている領域に焦点を当ててみましょう。
私たちが呼吸をすると、空気は最初に鼻(または口)から取り入れ、喉、気管、そして左右の気管支を経由して、各々の肺に送り込まれます。
逆に、息を吐くときにはこのプロセスが逆転し、体外に空気が排出されます。
吸うこと、吐くこと。
これらの呼吸に関与する部位を総称して呼吸器と呼びます。
診察では、通常は肺の音を聞きますが、呼吸器の疾患が疑われる場合、気管や気管支、細かな部位の音も注意深く聞かれます。
聴診器を用いて音を聞くと、正常な呼吸器では風の通る音が聞こえます。「スー」「ブオー」といった音です。
しかし、肺炎や喘息などの呼吸器の病気がある場合、異なる音が聞かれることがあります。
「ゴロゴロ」「グー」「ピー」「チリチリ」といった様々な音が病状によって発生します。
これらの正常でない音を副雑音と呼びます。
異常な音を聞くことで、どの部位に何が起こっているのかを診断し、状態を評価する手助けをするのです。
ちなみに、呼吸器の近くには声を発する器官も存在します。
そのため、聴診中に声を出すと、それが拡大して聞こえてしまうことがあります。
普段聞こえない呼吸音も聞こえるほどの聴診器なので、響くほど大きく聞こえます。
ですので、診察中は声を出さずに深呼吸に協力していただけるとうれしいです。